フィンランドから日本に帰ってきたその日のうちに六本木ヒルズにて開催されている「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」を見に行ってきました。これは国内外で活躍する28組のアーティストが「ドラえもん」を自分なりに表現した展覧会なんですが、時代を反映しているなあ…と思ったのが、一部作品が撮影&SNS投稿OKになっていたこと。というかむしろ推奨している感じすらありました。そう、「インスタ映え」です。こうした事例は既に海外ではいくつか事例があるのですが、昨年から展示作品を敢えて撮影OKにし、来場者が作品と一緒に自撮りするであろうこと、それをInstagramやTwitter、Facebookに投稿することを狙い、むしろそれを誘発するレイアウトにする展覧会の開催が流行っているそうです。果たしてそれはアートの形なのか?と勿論賛否両論あるそうですが、私としては「来場者が満足するならイベントとしては十分アリだろ」と思います。
このドラえもん展も明らかにこのタイプの展覧会でした。というのも…
一番最初に展示されていた作品が村上隆のこれ。もうこれをバックに自撮りしてくれと言わんばかりで、やはりその場にいたほとんどの来場者がこれをバックに自撮りしていました。興味深かったのは海外旅行者が結構たくさん来場していたこと。私と同じタイミングで入場した人たちの中に70~80代と思しき高齢の3人の外国人旅行者がいたのですが、彼らまで嬉々としてドラえもんと自撮りしてましたからね。っていうかフランス語の中に普通に「ドラえもん」が混ざっていましたから、ただ物珍しさで来たのではなく、明らかにドラえもんを以前から知っていて見に来ていたことがうかがえました。
んふんふ(ドラえもんとなめこ)
んふんふ(このドラえもんがどアップになった構図といい、このサイズといい、自撮りの背景にバッチリ過ぎるくらいバッチリですね。3の口がかわいい!)
レザーの上に描かれた壁画のような作品の、この「カエルの卵が細胞分裂したらドラえもん」の一つ一つの顔の味のあることといったら。
しかし私的には、小サイズながら会田誠さんと山口晃さんの作品が一番印象的でした。両者ともひみつ道具を一切登場させず、山口さんはドラのびの関係性を、会田さんは世の世知辛さを表現。見事としか言いようがありません。このユニットバスじゃないタイル貼りの昭和の風呂としずかちゃんの全裸。もう二度とリアルタイムでは見られないシーンなんですよ。
ただ残念だったのは、作者の経歴と作品キャプションは英文に翻訳されていたのに作品”内”のテキストが英訳されていなかったこと。山口さんの作品はマンガだからドラのびのセリフが読めないと意味が分からず魅力が半減してしまいます。この会田さんの作品のタイトル「キセイノセイキ」も「KISEI-NO-SEIKI」とそのまんまアルファベットで書かれていましたが、それでは日本語が分からない人には意味不明です。ここは説明的になろうとも敢えて「The century of regulation」とかなんとか英訳した方がよかったんじゃなでしょうか。
んふんふ(この「怖いのかい」のドラえもんの顔!そしてドラえもんのケツのムチムチ感!何とも言えないかわいらしさがあります)
山口さんの作品はマンガなんですが、敢えて離れて”絵”として見ても見ごたえがあります。特にコマの外にも薄墨でドラのびが描かれているところとか、ずっと眺めていても飽きません。
こちらは漆でドラえもんとドラミを表現した作品。ドラミの顔の形がちゃんと再現されているのが何気に凄くないですか?この鼻っ柱がツンと上向きになっているところとか、デコッぱちなところとか。
これはタイム風呂敷をイメージした巨大な立体作品なんですが、なんとこれ一面全て黒漆です!
これだけの面積を黒漆で仕上げるってかなり大変なはずなんですが、さらにその表面を敢えて削ってドラえもんたちの絵が彫られていました。
あとドラえもん展といえば奈良美智さんの作品もお馴染みですね。このビミョーにかわいくないドラミちゃん。